こんにちは、まぁです。
今回は市役所の危機管理についてです。
同じ公務員でも警察や消防だと危機管理ってイメージはあると思いますが、市役所の危機管理ってどんなものだと考えますか?
よくテレビなんかで報道される台風や地震などの災害は関係しますよね。
でもそれ以外にも火事や原発、今回の新型コロナウィルスのような感染症でも市役所はかなり振り回されます。
危機管理とは少し違うかもしれませんが、大きな事故やいじめ問題などが起こったときも市役所の中は結構パニックになります。
そんな市役所の危機管理について、僕の経験を含めて説明します。
Contents
市役所の危機管理って?(市役所職員の危機管理意識の現状)
これから市役所の職員を目指されている方の中には、市役所のイメージとして「安定している」「ルーティンワークが多い」というようなものを連想されている方も多いと思います。
確かに間違いではありませんが、もしそれだけを求めて市役所を目指すのであれば、少し考え直した方がいいかもしれません。
平成は「災害の時代」と言われるほど、各地で大災害が起こりました。
令和になったからといって、なくなるわけではありません。
南海トラフ巨大地震が30年以内に70~80%の確率で起こると言われていたり、気候変動により毎年のようにどこかで風水害の被害も出ています。
そんなときに、警察や消防の方と同様に重要な役割を求められるのが市役所です。
災害時の主な市役所の役割といえば、避難所の開設・運営や救援物資の調達や配布、ライフライン(主に上下水道・ガスなど)の復旧、災害救助法の適用などにかかる国や県との調整など結構多方面にわたりあります。
僕が市役所に入った頃(ずいぶん前ですが)は、とてものんびりしていて、正直危機管理意識のかけらもありませんでした。
その頃に比べると、今はだいぶ意識は高まりましたが、それでも警察や消防の方達からすると、全然意識は低いと思います。
なぜかというと、
- 警察や消防のように平時から訓練をしていない(やっても年1回)
- その場の状況判断や臨機応変さに欠ける
このようなことがあるかなと思います。
1つ目に関しては、警察・消防と違い通常業務の延長に災害があるという業務内容ではないため、市役所では難しい部分もありますが、問題は2つ目の方です。
冒頭でも書きましたが、市役所はルーティンワーク(前例踏襲)が業務の主であること、法律や条例に基づいて行う仕事が多いということがあります。
なので、災害が起こったときに、想定外の出来事や法律を読んでる暇もない状況での判断が「大の苦手」なのです。
でも、今はそのスキルは公務員には必要になります。
阪神・淡路大震災が僕の危機管理意識を変えた
僕だけでなく、日本中の役所の危機管理意識を大きく変えたのは、阪神・淡路大震災でした。
僕は当時、危機管理の部署に所属していました。
しかし、そんな部署にいながらも突発的な仕事といえば、火事やそんなに大したことない台風ぐらいしか想定していませんでした。
大地震なんて「自分の地域では起こらないもの」と本気で思っていました。
1995年1月17日午前5時46分に地震が発生します。
幸いなことに自分の地域では、大きな被害はありませんでした。それでも市役所の中で、朝から右往左往していました。
一定落ち着くと、次は被災地への支援の検討が始まりました。
それまで長い期間これほど大きな地震災害はなかったため、誰も何をしていいのかなんて分かりません。
でも「しなければなりません」でした。
当時の僕の直属の上司である課長と係長は、いい意味で公務員らしくない人でした。
状況判断と決断力が素晴らしいのです。
この2人の部下であったことが、僕のその後の公務員人生、いや今でも大きな影響を与えていただきました。
僕は危機管理担当なので、2日目には神戸に入りました。
鳴り止まないパトカーと救急車、消防車のサイレン・・・でもサイレンをいくら鳴らしても、通れる道路が限られていて、大渋滞が起こって前に進めないのです。
仕方なく車を止めて、歩いて現地の区役所に向かいました。
大きな火災には出くわしませんでしたが、瓦礫に埋まっている人や行方不明になった人を探す声などはあちこちで聞こえました。
思い出したくはない光景です。
その時代は、まだ携帯電話があまり普及していなく、僕も持っていなかったので、すごく不安だったのを覚えています。
やっと区役所について、担当の部長や課長に会いに行きました。
しかし、ほぼ話はできませんでした。
区役所の1階、2階は住民で溢れ、職員のみなさんが対応に追われているのですが、災害対策本部におられた部長、課長は完全に放心状態で椅子に座っているだけでした。
どこで何が起こっているかの情報もつかめず、何を優先してどのような指示を出せばよいのか分からないのです。
なので、1階にいる職員も指示がないまま対応はしているけど、何もできない。そんな状況でした。
結局、僕たちにも何を頼めばよいか分からないということで、話はできず外に出て自分たちの足で、「自分たちのできること」を探すこととし、少し経ってある避難所運営をすることになるのですが、この話についてはまた別の機会に書きたいと思います。
僕は、その時の区役所で泣き叫び、すがるような目で頼み込んでいた住民と、何もできない悔しさで立ちすくんでいた職員の方を見て、市役所に求められるものの重さ、自分に与えられた責任を感じた・・・そんな経験が僕の公務員としての危機管理意識を変えました。
市役所職員としてのやっておくべきこと
これまで書いたとおり、市役所職員になったからといって、ルーティンワークで安定した仕事だけが続く保証はないということは分かっていただけたかと思います。
市役所職員を目指される人、現職の市役所職員の人に向けて、職員として危機管理上、大切だと思うことを書きます。
災害や想定外の出来事は必ず起こるという覚悟
僕は市役所を辞めて大きく変わった一つとして、「もう災害にビクビクしなくて済むんだ」と思ったことです。
職員時代は、地震で揺れるとすぐにテレビや携帯で震度を見て、登庁しなくてよいかどうかを確認しました。
台風や大雨の時は、事前に出動してなくてはなりません。
被害が出たら当分家に帰れないかもしれません。
それがなくなったという開放感がありました。
今の職場でももちろん行くと思いますが、プレッシャーは比ではありません。
なので、想定外の出来事は必ず起こるという覚悟は持っておかれた方がいいと思います。
家族と話し合っておく
大規模な災害が起こると当分家に帰れないこともあります。
でもそういう役割を持った仕事です。
その分、家族には迷惑をかけてしまうことにもなります。
普段から家族と災害が発生したときのことを話し合ったり、発生したときの備えは他の職種の人以上に万全にしておく必要があります。
チームワークが大事
想定外の出来事が起こったときは、平常時以上に1人でできることなんてほとんどないです。
そんなときこそチームワークが重要になります。
市役所は人事異動が多く、人間関係も複雑で難しいですが、よりよいチームになるよう心がけることは大切なことだと思います。
また有事に備えて、職場内で話し合うことも必要だと思います。
まとめ
POINT
①公務員の危機管理意識(体制)は非常に大事(これからますます必要性が高まる)
②災害や事故、事件は起こるものとして考えておくこと
③家族や職場内で災害などが起こったときのことを事前に話し合っておく
昔の話を例に出したりもしましたが、それ以降も東日本大震災をはじめとして、各地で大きな災害などが起こっています。
昔以上に市役所の危機管理に対してのニーズは高まっているのです。
災害や事故、事件なんかは起こらないことに越したことはないのですが、起こることを前提に準備を怠らないことが、少しでも被害を抑えることにつながります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。