こんにちは、まぁです。
市役所の仕事の取組み方について、よく「お役所仕事」と揶揄されることがあります。
その中でも代表的なものとして、「前例がないので・・・」というのが決まり文句で言われることがあります。
これを業界では、前例踏襲主義と呼んで重要視されています。(別に決まった根拠はありません)
しかし市役所では、なぜ前例がないと事が進まないのでしょうか?
また、そもそも市役所の前例踏襲主義は、悪いことなのでしょうか?
今回は、そんな役所の中で重要視される前例踏襲主義についてお話しします。
Contents
市役所が前例を重んじる理由
挑戦するより前例を重んじる風土
市役所は、基本的に法律や条例などに基づいて仕事を進めます。
逆に根拠となるものがないことについては、判断するのが苦手です。
そのため、前例を根拠とする場合が多いです。
市役所などの行政機関は、失敗をすると新聞などで大きく取り上げられ、ダメージを受けます。
だから未知のものに挑戦することよりも、失敗しないことこそ正義という風土ができあがったのではないかと思います。
毎年同じ事を繰り返す仕事が多い
市役所の仕事は年度ごとで行われるものが多く、同じことを繰り返すパターンのものも多いです。
昨年度の書類とデータを探し、コピペして少しだけ内容を変えて完成させるというやり方で仕事をし、そのやり方が染みついてしまって、前例を見なくていいものまで前例を見て踏襲してしまう癖がついているとも言えます。
やりがいのなさ
公務員の評価は、一般的に減点主義と言われています。(僕は一概にそうだとは思っていないのですが)
がんばって成果を出さなくても、減点さえしなければ評価が同じなのであれば、前例踏襲の方が簡単だし楽ができるという考えの人がいます。
また、定期的に人事異動もあるので、どうせ何年かすれば異動するんだから、それまで前例どおりにやって大人しくしておこうと考えてしまう人もいます。
無駄な仕事に忙殺される
すべてということではないですが、国や都道府県からの調査ものや議会対応、会議、計画の策定などで無駄だと思われる仕事がたくさんあります。
それらの仕事に追われ、なかなか業務改善にまで意識が回らないという現状があります。
また、前例を見直すときは、上司や他課と調整しなければいけないことが多いです。
しかし市役所の中には、「相談を持ちかける=仕事を増やされる」という空気があり、自分も持ちかけられたら嫌だから他課にも持って行かないでおこうという思考になってしまいます。
市役所という所は、スタンドプレーを嫌います。
別にスタンドプレーをしようとしているわけではなく、単純に仕事内容を向上させ、市民に不利益にならないようにするだけなのですが、「カッコつけている」「目立ちたがり」のような視線を向けられてしまいます。
前例踏襲を見直すために必要なこと
ここまで、前例踏襲主義の悪い部分をお話ししてきましたが、そもそも前例を見るということがそれほど悪いことなのでしょうか?
プラスの面でも考えていきたいと思います。
前例のすべてが悪いわけじゃない
前例というのは、過去から現在に至るまで、失敗しなかったという実績があります。
それは非常に価値が高く、有効に使えるツールだと考えてもいいと思います。
そして公務員は、前例を調べたり整理する能力には長けています。
あとは、前例を踏襲すべきものとすべきでないものを取捨選択し、前例を単に踏襲するのではなく時代に合わせたりしてアレンジすればよいのです。
それには、確かに条例や規則などを改正したり、多くの調整をする必要があるかもしれません。
しかし、それはしなくていい理由にはなりません。
市民の利益が最優先なのですから、そこは多少忙しくなってもやるべき仕事です。
それでも、新しいものを1から考えることに比べれば、ずっと楽です。
出世の手段にもなる
先ほど市役所は減点主義だといいましたが、実は出世でトップを走るような人は抜け駆けがうまいです。
前例を調べているようで、実は前例を踏襲しようとする気はなく、どうやって抜け駆けしようか策を練っています。
そして前例をアレンジして、あたかも自分のオリジナルのように見せて手柄にして出世していきます。
僕はこれは悪いことだとは思いません。
働くうえで欲は必要ですし、悪用するための抜け駆けでないなら歓迎したらいいと思います。
前例を踏襲するためにではなく、進化させるために調べて自分の地位も高めるWin-Winの方法ではないでしょうか。
まとめ
今回は市役所が、なぜ前例がないと動かないのかについてお話ししました。
市役所が前例を重んじる理由は
POINT
①挑戦するより失敗してはいけないという風土
②毎年繰り返す仕事が多い
③やりがいのなさ
④無駄な仕事に忙殺される
そして前例踏襲を見直すために必要なことは
POINT
①前例のすべてが悪いわけじゃない、取捨選択とアレンジが必要
②出世の手段としても使える
でした。
日本は全国的に、人口減少や少子高齢化がさらに進んできます。
時代が求めるニーズも、これまで以上に目まぐるしく変わっていきます。
市役所は変わりゆくニーズに対応するため、これからは前例を踏襲するのではなく、常に新しい前例をつくっていくという姿勢で取り組んでいかなければいけないと思います。
前例踏襲主義から、これは造語ですが前例活用主義や前例創造主義という考え方に、変わっていってもらうことを期待したいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。